タイトル

GPS TOOL for WonderSwan

作者情報

中村浩明(ナカムラヒロアキ)
nak@pluto.dti.ne.jp
http://www.pluto.dti.ne.jp/~nak/


コンセプト

「WonderSwanをアウトドアスポーツに持ち出して、ハンディGPSの外部メモリとする」

ハンディGPSとは、主にアウトドアスポーツで使用される携帯電話程度の大きさのGPSです。 その機能の一つに、自分の移動行程をGPS本体の内部メモリに記録するトラック(Track)があります。 野外行動中に記録したトラック(=トラックログ)を帰宅後にパソコンに転送することで、データを活用、蓄積することが可能です。
GARMIN社のハンディGPSは、本体と通信ケーブル、PC側のインターフェースソフトを用意するだけで、 独自のバイナリ通信プロトコルによりGPS内部にメモリされたデータをPCとやりとりすることができます。

ここで一つ問題があります。
ハンディGPSの内部メモリには当然ながら上限があります。 バイクで行動している場合、およそ半日程(トラックのポイント数では1000個程)でトラックログはいっぱいになります。 1週間の旅行に出かけても、1日の移動分しか記録できないのはやはり不満です。
※これは自分の所有するGPS12という機種でのこと。最近は大容量の外部メモリが付けられる機種もあります・・・が高価です。

いっぱいになったトラックログは、GPS本体からダウンロードしないとそれ以上新しいトラックが記録できません。 GPSから内部メモリ内容をダウンロードするには、シリアルポートを装備したPCやPDAが必要なのですが、 重くてデリケートでバッテリーが貧弱なノートPCはアウトドアに不向きです。 PalmなどのPDAでもよさそうですが、本体や開発ツールが高価すぎます。

その点、WonderSwanはこの目的に向いてます。
・何せ本体が安い。山道で落としたり、川に落として壊してもあきらめられそう。
・開発環境(WonderWitch)が安くてシリアル制御が可能だから、自分で必要なS/Wが作れる。
・専用カートリッジのFlashMemory容量に不足なし。
・電池の持ちが抜群にいい。しかも単3だから切れたら買えばいい。

WonderSwanにダウンロードしたトラックログは、SwanのFlashMemoryにログファイルとして保存します。 そして外出先からの帰宅後に、データをPCで管理するためWonderSwanからPCへアップロードします。
つまり、WonderSwanをハンディGPSの外部メモリとすることが狙いです。


使用方法

GPS TOOL for WonderSwan の機能メニュー

menu



GPS TOOL for WonderSwan を使った場合のトラックログの流れ

まずはGARMIN製GPSとWonderSwanを持ってアウトドアへ。
    トレッキングやMTBツーリングでの行程記録にトラックログを開始する。
    数時間経過してGPS内部メモリのトラックログがいっぱいになったら、GPSからWonderSwanへトラックログをダウンロードする。

  1. GPSのインターフェースフォーマット設定を"GARMIN"とする
  2. WonderSwanとGPSを通信ケーブル(スワンケーブル+GPS接続用ケーブル)で接続
  3. WonderSwan側のS/W(GPS TOOL for WonderSwan)で”Track受信”を実行
     →受信データを/ram0 へログファイルとして保存、ファイル名は"TRK000.LOG"の形式でふられていく。
  4. GPSの内部メモリをクリアしてトラックログを再開する
GARMIN接続図
そして自宅に帰ってから。
    WonderSwanに保存したトラックログをPCへアップロードする。

  1. WonderSwanとPCとを通信ケーブル(スワンケーブル+クロスケーブル)で接続
  2. WonderSwan側のS/W(GPS TOOL for WonderSwan)でアップするログファイルを選択して”Track送信”を実行
  3. PC側のインターフェースソフトからトラックのダウンロードを実行
    (PC側にしてみればGPSからのダウンロードになる)
     →WonderSwanがGARMIN製GPSの通信プロトコルをエミュレーションするため、PC側インターフェースソフトは  GPSが接続されていると認識し、ログファイルに保存されてるトラックログを吸い上げる
    ※インターフェースソフトとは、GARMIN社製GPSとPCを接続するためのS/WでWindows上で動作する。
     便利で高機能なフリーソフトウェアが多数ある。

PC接続図



WonderSwanとGPSの接続

GARMIN社のハンディGPSにeTrexという機種があります。このモデルは単3電池2本で 動作し、サイズもWonderSwanの2/3程度です(下の写真)。
eTrexとWS
GPS側のシリアル出力はRS232Cレベルなので、WonderSwanとの接続には電気レベル変換のため スワンケーブル(WonderWitch付属品)または相当機能品が必要です。
・Swanコネクタ <---> Dsub-9オス

GPS側には通信ケーブルを用意する必要があります。 GARMIN社純正ケーブルもあるのですが、シェア・ハード・コネクタの配布活動 をされてる方々のおかげで安価な自作も可能です。
・GPS専用プラグ <--> Dsub-9メス

GPS→WonderSwanを接続する場合
 WonderSwan: Swanコネクタ <---> Dsub-9オス:Dsub-9メス <---> GPS専用プラグ :GPS
WonderSwan→PCを接続する場合
 WonderSwan: Swanコネクタ <---> Dsub-9オス:Dsub-9メス <---> Dsub-9メス :PC
 ※WonderWitchの転送時と同じ


動作環境

 以下の条件を全て満足する方には役にたちます。

動作機種

 ワンダースワン
 ワンダースワンカラー

OS バージョン

 FreyaOS Ver.1.1.0


技術解説

GPSとのインターフェースについて

一般的なGPSインターフェースとしては、NMEA(National Marine Electronics Association) という通信規格があります。
もちろんGARMIN社製GPSもNMEA-0183での出力が可能ですが、NMEAは4800bpsでの通信規格であるため WonderSwanとは接続不可です。 つまりNMEAだけをサポートするGPSではWonderSwanと直接つながりません。
しかし、GARMIN社独自の通信仕様 GARMIN Communication Protocol Interface Specification ならば、WondewSwanと通信が可能です。
(バイナリ通信以外にも、テキスト形式の位置情報を1秒間隔で出力可能な機種もある)
※ただしGARMIN社製GPSはRS232Cレベル出力
SONY製受信機ユニットであるIPSシリーズでも独自のテキスト形式出力でWonderSwanと 通信は可能です。
※ただしIPSシリーズはCMOS/TTLレベル出力
GPSとの通信インターフェースさえ合えば、WonderSwanでリアルタイム・ナビゲーションも簡単に実現できそうです。


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