:E ついに、ベスト4まで来た! そこで敵の視察を兼ねて、 チーム全員で試合を観戦した。  最初はシャーマン対オーランド戦だ。 下馬評では、ほぼ同じレベルで接戦に なるだろう、との噂されている。  俺達もVIP待遇で、王や姫の近くに 座った。 だがエリザベート后とエスカ姫は、 具合が悪いらしくいなかった。  両国の選手が整列すると、見慣れた シャーマンの選手が並んでいる。 だが、バウアーがいない! どうやら、累積警告で出てないらしい。 皇子も厳しい顔をしている。 ウール姫も心配そうだ。  試合が始まったが、オーランドが 一方的に攻めて、後半30分までに 2点も入れられた。 さすがの皇子も、徹底的にマークされて 何度も倒された。 ウール姫が真っ青な顔で、ハンカチを 揉み絞っている。  しかし、オーランドも攻めてばかりで かなり疲れているようだ。 後半35分に、転機は訪れた。  シャーマンのブッシュバルドが、 左サイドを駆け上がると、 中央にセンタリングを上げた。  そこには皇子がいたが、2人にマーク されている。 皇子はジャンプして頭で、シュート・・ じゃない、右に流した!  そこへ走りこんで来たフェルマーが、 右足を一閃した! ゴールだ!!  静かになっていたシャーマン観客は、 一気に盛り上がった! その3分後には、フェルマーから皇子に スルーパスが出ると、相手GKと もつれながら、皇子が押し込んだ!  アッという間の同点劇に、観客は 大騒ぎしている! 俺達も、自分達が勝ったかのように 喜んだ。  これが諸国が恐れるシャーマン魂だ。 奴らは、最後の最後までは 諦めようとしない。 全く、やっかいな連中だ。  延長戦に突入したが、 もう勝負は決まったようなもんだ。 結局、延長でも2ゴール入れて、 シャーマンが準決勝に進出した。  王はムッツリ、ウール姫はニコニコ、 カシス姫は無関心な表情をしている。  フェレットとシェッケルが同時に、 ため息をついた。 「皇子って凄い・・・」  それを見たジム親父が、 ため息をついて喝を入れた。 「おいおい。  また当るかも知れんってのに、  感心して、どうするんだ」  続いて、アルゼルンとインダスが対戦 したが、いまいちパッとしない 試合内容だった。  結局、点が入らずにPK戦で勝った アルゼルンがベスト4に進出した。  今大会のマナドールは、あまり調子が 良くないようだ。  良いのか悪いのか複雑な心境だが、 俺たちはイテリオ戦に集中しないとな。 :FM0 :FN0 :VK1+NEXT1 :VK2+NEXT1 :VI1+NEXT10 :J+NEXT20 +NEXT1 :E 帰る時に、スプーン卿が何かを 探してるみたいで、ウロウロしている。 「やあ、どうかしたのかい?」  俺がスプーン卿に話し掛けた途端に いきなり、俺の胸倉を掴んできた! 「また貴様か!  どこだ!  どこにいるんだァ!」 「ちょ・・・落ち着けって」  周りの兵士が、スプーン卿を 取り押さえたがが押さえつけたが、 まだ暴れている。 「・・・どうしちまったんだ?」 近くにいたウール姫に、 喉をさすりながら聞いてみた。 「実は・・・  ターミネア様が、さっきから  見当たら無いらしいんです」 「迷子になってるんじゃ無いのか?」 「それなら良いんですけど・・・」  その夜、宿に使いが来た。 ウール姫と最後に、どんな話をしたか 聞きたいんだそうだ。 「手短に頼むぜ。  急いでんだからよ」  白い洒落たスーツ姿の、目つきの 鋭い男が立っている。 「あんたは誰だ?」 「どうだって良いじゃねぇか。  早く言えって!」  イライラした様子で、忙しく煙草を ふかしている。 「ターミネアがいなくなった話、かな」 「ちっ!  やっぱりそうか、面倒臭ぇ・・・」 「面倒?  ウール姫に何かあったのか?」 「ああ、協力感謝するよ。  それじゃあな」  そいつは答えず、待たせてた馬車に さっさと乗りこんだ。  何だか訳が分からず、戻ろうとすると メーリフが柱の陰から現れた。 「おい、なんでジャッカルが  来てたんだ?」 「ジャッカル?」 「知らないのか?  イテリオの外務大臣で危ないヤツさ」 「ふーん。  大臣なんて、椅子でふんぞり返ってる  もんだと思ったぜ」 「あいつは特別に変人だからな!  それより、早く教えろ!  命令だ!」  ギャアギャア騒ぐメーリフを 無視して、歩きかけた時にふと思った。 何で警備兵じゃなく、外務大臣なんだ?  俺は急いで宿から抜け出すと、 辻馬車を捕まえて、城に向かった。  案の定、夜も遅いのに松明が 明るく燈されている。 「おーい!  外務大臣に伝えてくれ!  言い忘れた事がある!」  当番兵に頼むと、すぐにジャッカルが 出てきた。 「何だ、早く言え!」 試しに、カマをかけてみる。 「その前に聞きたいが、  ターミネアを誘拐したのは、  シャーマンか?」 「・・・分からん。  だが、誘拐した手口から考えても  かなり大掛かりな組織だ」 「やっぱり、誘拐されたのか!」 「・・・脅迫文が来たが、  素人にしては手際が良すぎる。  それより早く言え!  時間が惜しい!」 「情報ありがとう!」 俺は敬礼すると同時に、走って逃げた! 「おい・・・騙しやがったな!  ・・・待て!勝手に動くな!  これからシャーマンに交渉に行くから  お前も来い!」 俺は立ち止まって、叫んだ。 「なんでシャーマンなんだ!」 「時間が無い!  急げ!」  渋々戻ると、いきなりパンチを 鳩尾に食らった! 「この俺様を騙すとは、  良い度胸じゃねえか。  だが、次は無いぜ!」  俺は咳き込みながら、本当に貴族か? と毒づいた。  ジャッカルの説明によれば、犯人は ターミネアを人質に、ウール姫を さらって、ルウムとシャーマン両国に 負けるよう脅してるらしい。  だが、おかしな点を俺は聞いてみた。 「ルウムはともかく、シャーマンには  関係が無いはずだろう?」 「ルウム人のくせに知らんのか?  獅子皇子とウール姫は、大会後に  式を挙げる予定だぞ」 「そうなのか!」 「質のルウムと、量のシャーマンが  組むとなれば、軍事的な脅威になる  からな。  俺たちも注意してるのさ」 「そんな事、俺に話して良いのか?」 ジャッカルは肩をすくめて言った。 「さあね?  もう話しちまったよ」  シャーマンの大使館に行ったが、 いきなり門前払いを食らった。 イテリオとルウムの問題であって、 なるべく協力はするが そんな卑劣漢に屈する気は無い、とさ。  ジャッカルは気障に煙草を取り出すと 一服吸った。 「おい!落ち着いてる場合じゃ  無ぇだろ!」 「まあ、落ち着けよ。  お前も吸うか?」 「いや。  ・・・しかし、得する連中は  イテリオか、アルゼルンに限られてる  だろう?」 「その辺は部下や、憲兵が当たってる。  マフィアの賭博絡みかも知れんから、  それも確認中だ」 「目撃したヤツとか、居ないのか?」 「居ないから苦労してるんだがね」  目撃者も手がかりも無く、 時間だけが過ぎた・・・。  朝になって、ジャッカル大臣が 眠そうな目で、俺に言った。 「お前、今日試合だろ?  何か分かったら、教えてやる・・・  ふぁぁ・・・」 :J+NEXT30 +NEXT10 :FM1 :E 俺は、ちょくちょくモアローの様子を 見に来てて、今日も宿を抜け出すと こっそり泊まりに来た。 「全く、参ったわね」  部屋に入ってきたマリンは 包帯が巻いてる右手首を、痛そうに 押さえていた。 「何かあったのか?」 「ちょっと、しつこい男がいてね」 「知り合いか?」 「んー、そうかもね。  あんたも知ってるわよ」 「俺が?」 すると突然、扉がガンガン叩かれた! 「開けろよ〜おぃ〜  俺が誰だか、知ってるだろ〜?」 だらしなく酔っ払った声だ。 「うわ、来たよ!  ホテルの連中は何してんの!」 すると、表で言い争う声が聞こえる。 「他のお客様の御迷惑になりますから、  お静かに・・・」 「なんだと、このヤロ〜!  誰だか分かって言ってんだろうな!」 ちょっとムカついた。 「俺が追っ払ってやるよ」 「あ、ちょっと待った!」  モアローが言う前に、扉を開けると 小男が俺に抱きついてきた! 「ん〜〜!  もう離さないよ、マイハニ〜〜」 酒臭い息を吐いて、俺に迫ってくる! 「離せ!」  俺は蹴り上げようとしたが、 それ以上の速さで小男が離れた。 「あり?  男に変わっちまったぞぉ〜〜?  俺様と、やろうってのかぁ〜?」  縮れた黒髪に、小柄だが プロボクサーのような体格、 太い眉に日焼けした顔。  ・・・こいつ、マナドールだ! 頭をブルブル振ると、俺を睨みつけた。 「おー、なんか見覚えあるなぁ〜?  お前も大会に出てるだろ〜?」 なんだかフラフラしている。 「確か〜むん〜、  ルウムのヤツだよな〜。  今日はルウムに縁があるなぁ〜?」 「おいおい、大丈夫か?」 マナドールは、聞こえて無いようだ。 「やっぱ、女は出るとこ出てないと  ツマランよな〜〜  ガキはピーピーピーピー  うるさいしな〜?」 「おい、一体何の話だ?」 「ルウムのヤツらァーあー  あーんなのが良いのか〜?  変態だよ、犯罪だぜ、お前ら〜」 「・・・」 「お前もヤりたいのかぁ〜?  だったら港の3番倉庫に・・・」  突然、黒服の連中がどやどや現れて 暴れるマナドールを連れ去った。 「迷惑料だ」  黒服の一人がそう言って、隠しから 皮袋を床に投げ出して去った。 中には銀貨が、ぎっしり詰まってる。 「へぇー、随分入ってるよ」  モアローが皮袋を覗きこんだが、 俺はマナドールの最後の台詞が 気になっていた。  モアローに憲兵に連絡するよう 頼んで、表に出て辻馬車を捕まえると 港に急いだ。  港口で馬車を降りると、そっと 3番倉庫に近づいた。  そーっと裏口に行くと、 見張りらしい大男が立っている。  こりゃヤバい、本物の事件だ。 さて、どうする・・・? :M憲兵を待つ,+NEXT11,自分でやる,+NEXT12, +NEXT11 :E こりゃあ、1人じゃ無理だ! くそっ、早く憲兵が来ないかな・・。  表に回って待っていると、 馬車が2台到着して、倉庫の中から 数人の男が2人の女を囲んで 出てきた。  女の1人はふらふらしながら、 もう1人に支えられている。 もたもたしてるのにイラついたのか、 男が女を突き飛ばした。  ウール姫だ! 俺が飛び出すより前に、 馬車に押し込まれて走り去った・・・。 :J+NEXT30 +NEXT12 :FN1 :E あの見張りを、何とかしなきゃな。 考え込んでいた時、いきなり後ろから 目隠しされた! 手を振り払うと、モアローが笑ってた。 「探偵さん、経験不足だよ?」  俺が言い返そうとした時、 見張りがこっちに気がついた! すると、いきなりモアローが俺に 抱きついてキスして来た。 「おい、あっちへ行け!」 いかにもって感じの、柄の悪い大男だ。 「あらン。  アンタの方がイイ男ねェ」  モアローが腰をくねらせて近づくと、 大男にしなだれかかった。 大男はしかめっ顔で、だが満更でもない ようだ。  その瞬間、彼女が股間と顎に 連続蹴りを食らわせた! 「どこで覚えたんだ?」 「内緒」  泡を吹いてる大男に、少し同情して 裏口から中に入ると、中は薄暗い。 モアローも入ろうとするので、 手で追い払ったが、俺を蹴る振りを したのであきらめた。  こっそり進むと、女の泣き声と、 何かを叩く音が聞こえる。 それを止める女の声。  声がする方に近づくと、数人の男と その隙間から・・・  座り込んでる下着姿のウール姫と、 姫の後ろに、裸の女の子がいる! 乱暴されたらしく、傷だらけだ。 「おい、馬車はまだかよ!  ついでに、姫さんもヤっちまおうぜ!  ヘヘヘッ!」 女の子をかばって、姫が叫んだ。 「下郎!下がりなさい!」  口に大きな刀傷のある男が、 腰のナイフを抜いた。 「んー、バカだから俺にゃあ  難しい言葉は分かんねェなあ?  なら、姫さんも俺と同じ顔にすれば  分かるかな?  へへへ・・・」  それを聞いた姫は、顔が真っ青に なりながらも言い返した。 「ターミネア様は関係無いでしょう!  もう帰してあげて!」 「そうは行かねぇなぁ、んんー?  まあ、俺達が飽きるまでは  付き合ってもらうぜェ!  一晩中なあ!」 一斉に馬鹿笑いが起こって、 俺は飛び出しかけたが、モアローが 俺の腕を押さえて、横に首を振ると 荷物を指差した。 何かの油らしい。  モアローが俺にマッチを見せて、 そっと物陰から回り込んだ。 「もう、辛抱できねェ!  俺ぁヤるぜぇ!」  刀傷の男が叫ぶのと同時に、 俺はモアローと反対側に飛び出した! 「こっちだ!」  一斉に男達がこちらを見た! 口々に叫んで、追ってくる。 「誰だ!あいつは!」 「捕まえろ!」 「ブッ殺せ!」  俺は階段に走って昇ると、 掃除用のモップで駆け上ってくる連中を 突き落とした!  狭い階段で、一人ずつしか上がって 来れないのが幸いして、 しばらく連中とやりあっていると、 焦げ臭いがした。 「何だ、この匂いは?」  パチパチと燃える音がしたかと思うと 一気に炎が燃え広がった!  俺にも火がつきそうになって、 慌てて荷物の上に跳び移って叫んだ! 「ムチャしやがる!」  下も大慌てで、逃げ出す奴らで ごった返しだ。  隅の方で、姫を連れている男を倒した モアローが見えた。  だが、それに刀傷の男が気付いた! 「女が逃げるぞ! 」  俺は、荷物の上をピョンピョン跳んで 上から荷物を投げつけて、邪魔をしたが 刀傷の男が、モアローに追いついて 大刀を切りつけた! モアローが、俺の肩に手を置いた。 「あんたのせいじゃ無いよ・・・」  憲兵が忙しく行ったり来たりしてる中 俺はうなだれて、座り込んでいた。  半狂乱のウール姫は、保護されて 病院に行き、俺は取り調べのために 兵舎の入口で待っている。 そして憲兵隊長に言われた。 「お前は、ヒーローのつもりか!」 今でも、目に焼き付いている・・・。  女の子がモアローを突き飛ばして、 刀が、女の子の左肩から腹まで 食い込んだ!  姫と、モアローが叫ぶのと同時に、 俺が上から飛びついて、男の頭を ボレーシュートすると、まともに入って 数メートル転げ飛ぶ。 「突撃ィ!」  同時に、憲兵隊がなだれ込んで来た! ウール姫は狂ったように、女の子の血を 止めようと押さえていた。 「お手柄だな。  だが、お前は憲兵か?」  尋問室で、キャンドル監督に こっぴどく叱られた。 「全く、ウール様が無事だったから  まだ良かったが、全員死んでたかも  知れんのだぞ!」 「・・・あの娘は誰だったんだ?」 「スプーン内務大臣の一人娘、  ターミネア様だ。  お可哀想に、まだ若かったのに」 「ウール姫は?」 「誰ともお会いにならないし、  ろくに食事も食べてないそうだ。  無理も無い・・・」 「そうか・・・」 「過ぎた事は、もう仕方が無い。  もう試合に集中したまえ」  部屋に戻って考え込んでいると、 扉がノックされた。 「入って良いか?」 ベルトークだ。 「開いてるぜ」 入ってきたベルトークは、 ガラクタの壁に驚いたが、近くの椅子を 持ってきて座った。 「聞いたぞ。  ついに恐れていた事件が、  起きてしまった・・・」 「何か知ってたのか?」 「そうじゃないが今は、W杯と政治が  絡み過ぎてる、って思ってたのさ。  だが、スポーツと政治は別のものだ。  それをシャーマン内で主張したら、  その考えは異端だ、って言われたよ」 「そうかも知れないが、戦争の代わり  には、なってるぜ?」 ベルトークが反論する。 「それが、そもそもの誤りだ。  何故、戦争をするんだ?  しなければ良いじゃないか」 「僕も、そう思うよ」  そう言って、フェレットが 壁の隙間から出て来た。  ベルトークが椅子を薦めると、 フェルがちょこんと座る。 「アルフレッド王子も、そう言ってた。  ルウムの産業は、軍需関係だけど  もっと平和な世界に貢献するべきだ、  そのためには、身分を問わずに、  男でも女でも優秀な人材は  登用すべきだ、って」 ベルトークが肯いている。 「私も、その話に感動して、  祖国に裏切り者と呼ばれても  亡命してきたんだ。  それなのに・・・事故なんて・・・」 悔しそうな顔で、フェレットが続けた。 「彼の意思を継ぎたいけど、  まだ経験も人望も足りない。  だが、いつかやってみせるさ」  こいつの若さを、今改めて感じた。 何だか未来に不可能は無い、って 感じだな。 俺は引っかかってる事があって聞いた。 「王子の事故って?」 ベルトークが、顎に指を当てて言った。 「何でも、狩りでに落馬したそうだ。  急に馬が走り出したらしい」  その一瞬、フェルが唇を噛んだ。 何か裏があるようだが、黙っておこう。 :J+NEXT30 +NEXT20 :E 宿に戻ると、監督が忙しそうに 歩き回っている。 何かあったのか?  他のヤツにも聞いてみたが、 誰も知らならしい。 部屋に戻ると、真っ青な顔で フェレットが部屋から出て行った。 「おい、フェル・・・ 」  だが、聞こえなかったらしくて、 慌てて行ってしまった。  何だったんだ? :J+NEXT30 +NEXT30 :E 今度の相手は、開催国イテリオだ。 地元チームなもんで、凄い数の観客に、 俺たちは雰囲気に呑まれていた。  あちこちで発煙筒や花火が上がり、 応援の歓声で、会場全体が地震みたいに 揺れていた。  俺たちがフィールドに並ぶと、 ブーイングと歓声が更に大きくなった。  イテリオで目立つのは、若き ファンタジスタ、ロベルト・バッシュと 現在の得点王、トト・ポポロッチだ。  バッシュは優しげな若い男で、 長い曲毛を後ろで束ねている。 だがフィールドに立つと、稲妻みたいな ドリブルからゴールを狙ってくる。  ポポロッチは、オールバックの髪に 鷹の目をした男だ。 ゴールの嗅覚が鋭くて、チャンスは絶対 外さない。  だが、このチームは [カテナチオ(鍵をかける)]と 呼ばれる鉄壁の守備が特徴だ。  どうやって、鍵をこじ開けるか? 試合開始だ! :W8+WIN8,+LOSE8,+DRAW8, +WIN8 :E 勝った!  観客から凄いブーイングが起きたが、 切り替えの早いイテリオ人、すぐに 暖かい拍手を、俺たちに贈ってくれた。  バッシュが俺にユニフォームの交換を 求めて来た。 「良い試合だったよ。  次は負けないからね」 そう言いながら、爽やかに笑ってる。 「ああ、受けて立つぜ」 ・・・我ながらクサい台詞だ、と思うが バッシュは納得したようだ。  隣では、ポポロッチとブーマが 無言で握手していた。 変な連中だ。  その後、シャーマンが負けて 俺たちの相手はアルゼルンに決まった。 :C/rom0/story9.txt +DRAW8 +LOSE8 :VN1+NEXT50 :J+NEXT51 +NEXT50 :E 結果は負けたが、シャーマンも 負けたんで、誘拐されてたウール姫が 還された。 :J+NEXT51 +NEXT51 :E 決勝は、アルゼルンとイテリオが 対戦して、アルゼルンが連続優勝した。 [神の子]の勇名は、ますます高まって もう[神]になってる。  その後、獅子皇子とウール姫の婚約が 取り消され、両国の関係が悪くなった。  カシス姫と結婚したメーリフ王が、 シャーマンと一戦交えるって噂で 俺はとっとと、ルウムから逃げ出した。 俺は、今日もフィールドを走っている。 ― END ― :Q