#01 &g95 &n!注意! このゲームはフィクションであり、登場する人物・団体名 等は実存するものといっさい関係ありません。 &n──── 4月1日 &nたかひろ (はぁ…、大学に入ってもう1年か…。あっという間の1 年だったな…。) (大学は実家から通えなくはない距離だったけど、せっか くの大学生活。) (一人暮しをしたいと、親父とお袋に無理言ってみたら、 会社の社宅が空いているから、そこを使っていいよと) &g01 (このマンションを格安で借りれることになったけど、こ れって、普通、家族が住むようなヤツだよな…?) (一人で住むにはムダに広い気がするけど、ホントにオレ 一人で住んでていいのか?) (ちなみに親父とお袋、同じ総合家電メーカーに勤めてい て、なんかの製品開発をしているらしい。) &n!注意! セリフが説明的なのは気にしないでください。 &nたかひろ (しっかし…、一人暮し始めて気づいたが、一人暮しって のも楽じゃあないな…。) (掃除洗濯はもちろんのこと、料理も面倒なんだよな…。 かといって外食にすると食費もバカにならないし。) (はぁ…、お袋って偉大だよ…。) &n──── ピ〜ン ポ〜〜ン♪ &nたかひろ 「…ん? 誰だ?」 「あいつらは、今日うちに来るとかは言ってなかったけど なぁ…。」 (「あいつら」とは、去年、大学に入ったころに出会った 友人たち(悪友?)のことである。) (時々、うちに遊びに来たりするのだが、今日はそんな話 なかったはず。) &n──── ピ〜ン ポ〜〜ン♪ &g99 &nたかひろ 「はいは〜い、今出ますよ〜。」 &n──── ガチャ &g02 &n女の子─ 「こんにちは〜♪ お世話になります。」 &nたかひろ 「??」 &n──── 玄関の扉を開けると、そこには自分の知らない一人の女の 子が大きなカバンを持って立っていた。 &nたかひろ (誰だろう? 「お世話になります」とかって言っていた し、人違いなんでは?) 「あの…、人違いでは? うち、水方(みなかた)なんだ けど…。」 &n女の子─ 「はいそうです。水方貴博(たかひろ)さんですよね?」 &nたかひろ 首を縦に振る。 (どういうことだ? 向こうはこっちを知っているようだ けど、こっちは全然しらないし…。) (そもそも「お世話になります」って、いったいなんなん だ?) &n女の子─ 「あの〜、ひょっとして、ご両親の健二主任、よしみ主任 から何もお聞きになってないのでしょうか?」 &nたかひろ 「え? 親父とお袋から?」 (会社では、親父とお袋はどちらも主任である。) (そんな話、聞いたことがない。) 「な〜んにも聞いてない。」 &n女の子─ 「うぅ…、そうですか…。私はてっきりすでにご存知だと 思っていたのですが…。」 &nたかひろ 「どういうこと?」 &n女の子─ 「健二主任、よしみ主任から、『息子のところに行ってこ い』と言われたんですが…。」 &nたかひろ 「ということは、親父とお袋なら、知っているのだな?」 &n女の子─ 「はい、たぶん、そうですけど…。」 &nたかひろ 「ちょっと待って。親父とお袋に電話で聞いてみるから… 。」 「あ、そうだ、君の名前、なんて言うの?」 &n女の子─ 「私のですか? え〜っと『ありす』です。」 &nたかひろ 「ふ〜ん、ありすちゃんか…。」 (まずは、親父たちに電話だ。) &g95 &n──── ピッ…、ポッ…、ピッ… トゥルルル…、トゥルルル… ガシャ &nたかひろ 「あ、親父、たかひろだけど。」 &n健二── 「お、たかひろか。ちょうど電話が来る頃だと思っていた ところだぞ。」 &nたかひろ 「ありすって子がうちに来たんだけど、親父たち、知って いただろ?」 &n健二── 「おう!!」 &nたかひろ (なに威張って言ってるんだか…) 「ありすって子、いったい誰なんだよ。今日、突然うちに 来て、『お世話になります』とかって言って…。」 「いったい、どういうこと? オレ何も聞いてないぞ?」 &n健二── 「いや〜、おまえを驚かそうと思ってな…、何も言わなか ったんだ。」 &nたかひろ 「十分、驚いたぞ…。」 &n健二── 「はっはっはっ…。そいつは、よかった、よかった。」 &nたかひろ 「こっちは、よくない…。」 (まったく、何考えているんだ? この親父は…。) 「ところで、ありすって子のことだけど…。」 &n健二── 「おう、そうだった。」 「たかひろ、父さんと母さんが会社で何をしているか知っ ているか?」 &nたかひろ 「なにを突然…。」 「え〜っと、確か、なんか製品開発してるとか…。」 &n健二── 「おう、そうだ。」 「その開発しているっていうのが、実は家事手伝いロボッ トでな…。」 「ここんとこ、いろんなところから、ロボットとか出てる だろ?」 &nたかひろ 「『▲SIMO』とか『AIB●』とか?」 &n健二── 「まぁ、そんなところだ。で、うちの会社もロボットの開 発をしていてね。」 「うちは総合家電メーカーだから、家事手伝いのロボット にしようというわけだ。」 &nたかひろ 「それは、わかった…。で、それと今回の件とで、どうい う関係が?」 &n健二── 「ん? たかひろ、まだ気づかんか?」 &nたかひろ 「なにが?」 &n健二── 「実はな、その子『ありす』が、うちで開発した家事手伝 いロボットなんだ。」 &nたかひろ 「はい?」 &n健二── 「まぁ確かに、話がぶっ飛んでて、信じられんのも仕方が ない。」 「でも、これが、現実を無視した『ご都合』と『お約束』 というヤツだ。」 &n!注意! あくまで、このゲームはフィクションであり、『ご都合』 と『お約束』は多数あります。 &nたかひろ 「ちょっと待て!! どう見ても普通の女の子だろうが! !」 &n健二── 「確かにそう見えるが、技術の進歩はすさまじいものでな …、ついにここまで来たんだよ…。」 &nたかひろ 「…わかった。百歩譲って、ありすって子がロボットだと しよう。で、オレにどうしろと?」 &n健二── 「そうだな〜。それは母さんのほうが詳しいから、今かわ るよ。」 &n──── しばらく待った後。 &nよしみ─ 「お〜、たかひろ〜、元気にしとるか?」 &nたかひろ 「あ、お袋? ん、こっちは元気にしてるよ。」 &nよしみ─ 「そいつは良かった。おまえ、全然電話しないから、そっ ちの様子、全然わからんし…。」 「まぁ、元気でなによりだ…。」 「って、今はそういう話じゃなかったな。」 &nたかひろ 「うん、ありすって子がうちに来たんだけど、どういうこ となん?」 「親父から、あの子がそっちの会社の家事手伝いのロボッ トだっていうふうに聞いたけど、オレにどうしろと?」 &nよしみ─ 「…え〜っとなぁ、ありすはな、うちの家事手伝いロボッ トの、まぁ、試作機なんだわ…。」 「で、実際にテストしようと思うんやけど、このロボット かなりのインパクトのあるもんやろ?」 「どうせテストやるなら、ハンパなもんにしたくないっち ゅうことで、出来るだけ実戦に近いものにしようと…。」 「それにな、このロボット、学習機能が付いててな、いろ んなことをすればするほど、賢くなっていくわけだ。」 「それで、テスト段階でできるだけ学習させて、それを製 品に、ど〜んと載せちゃおうって寸法だ。」 &nたかひろ 「それは、わかった。じゃぁ、なんでオレが…?」 &nよしみ─ 「ん? そりゃあ、他社にこのことがバレたらまずいだろ ?」 「だから、なるべく関係者、身内で済ませたいわけだ。」 「ということで、たかひろ、あんたが選ばれた…と。」 &nたかひろ 「……」 「ところで、そのテストを行なうにあたり、その本人の同 意ってものは?」 &nよしみ─ 「それは、心配すんな。うちら両親がおまえの代わりに同 意しといたから。」 &nたかひろ 「ぶっ!!」 &nよしみ─ 「まさか、たかひろ〜、断るって言うんじゃないだろうな 〜?」 「だれのおかげで、格安でそのマンションに住めて、仕送 りもらっていると思ってる? んん?」 &nたかひろ 「きったね〜、脅すのかよ!!」 &nよしみ─ 「人聞きの悪い…。ギブ&テイクというやつだよ…。」 「まぁ、悪いようにしないから、ありすのこと頼むわ…」 &nたかひろ (…ったく。なんでこううちの親ってこうなんだ? 仕方 がない、なんとかするか…。) 「わかった。で、オレはどうすればいいんだ?」 &nよしみ─ 「ん、そうだな…、いつまでと期間が決まっている訳では ないが、ありすにいろいろ家事をさせてくれ。」 「どうせ、おまえのことだ。部屋が汚いうえに、ろくなも ん、食ってないだろ?」 &nたかひろ 「…その通りだよ。」 (図星…。) &nよしみ─ 「そいつは、ちょうど、良かったねぇ。」 「あ、それと…」 &nたかひろ 「??」 &nよしみ─ 「さっきも言ったけど、ありすがロボットだってことは、 ぜったい秘密だからね?」 「いちおう、ありすのことは、ふがいないたかひろを助け るために実家からやってきた妹というふうにするけど。」 「どうだい?」 「ありすは住みこみになると思うから、そっちのほうが自 然だろうし…。」 &nたかひろ 「あ〜、わかった、そうするよ。」 &nよしみ─ 「あと、それと、もう一つ。」 「ありすはね、耐久性の問題で、ある程度仕事をしたら、 会社に修理にだすこと。いいね?」 &nたかひろ 「はい、はい。わかりましたよ…。」 &nよしみ─ 「じゃぁ、そういうことで、ありすのこと頼んだよ!」 &n──── ツー…ツー…ツー… &nたかひろ 「はぁ〜。」 &g01 &g80 &nありす─ 「あの〜、たかひろさん、どうだったんでしょうか?」 &nたかひろ 「親父とお袋の話で、だいたい状況はわかった。」 &nありす─ 「はぁ…、そうですか。で、たかひろさんは、それで大丈 夫なのでしょうか?」 &nたかひろ 「…ふっ、選択の余地無しで…。」 &nありす─ 「じゃあ、OKということで。」 「それでは、わたくしの説明をいたします。」 「わたくし、ありすは家事手伝いロボットでして、料理、 掃除、洗濯、整頓をこなすことができます。」 「ちなみに学習機能を持ち合わせていまして、しだいに性 能が向上するという特徴があります。」 「環境条件は、温度−20〜60度となっております。」 「また、生活防水となっているため、水にぬれても問題あ りません。」 「ただ注意としましては、わたくし、VCCIクラスBと なっておりまして…。」 「テレビやラジオの近くですと、受信障害を引き起こすこ とがあります。」 &nたかひろ 「ところで、エネルギー供給は?」 &nありす─ 「原子力。」 &nたかひろ 「……」 &nありす─ 「いやだな〜もう、冗談に決まっているじゃないですか。 そんな無茶なことを…。」 &nたかひろ (親父たちならやりかねん…。) &nありす─ 「家庭用電源AC100Vで供給します。バッテリー駆動 となっていて、だいたい6時間でフルに充電されます。」 「フル充電で、通常使用ですとだいたい1日もちます。省 電力モードですと2日もちます。」 「ということで、毎晩充電されることをおすすめします。 」 &nたかひろ 「だいたいわかった。」 「そういや、さっきの電話で親父たちが言っていたけど、 あんたはオレの妹という設定で…。」 「オレを助けるために実家からやってきたということにな っているらしい。」 &nありす─ 「あ、そのようになっていたのですか…。では、そのよう に設定を変更いたしましょうか?」 &nたかひろ 「そんなこともできるの? じゃ、そうしてくれ。」 &nありす─ 「はい、了解しました。それでは、設定の変更を開始しま す。」 「………」 「その場合ですと、たかひろさんを『お兄ちゃん』と呼ぶ 設定になっていますが、よろしいでしょうか?」 &nたかひろ (おいおい…、そんな設定も用意されていたのかよ。) 「それでいいよ。」 &nありす─ 「はい、了解しました。」 「………」 「設定を変更しました。」 「設定を有効にするには再起動する必要があります。」 「再起動しますか?」 &nたかひろ (……う〜ん、なんだかな〜。) 「じゃ、再起動しといて。」 &nありす─ 「はい、それでは再起動します。」 &n──── ピポッ ブ〜〜ン… &nたかひろ (…起動中?) &nありす─ 「セルフチェック終了。エラーはありませんでした。起動 完了しました。」 「はい、それではよろしくお願いします。お兄ちゃん。」 &g99 #00 #02 &g95 &nありす─ 「お兄ちゃ〜ん、ゴハンできましたよ〜。」 &nたかひろ 「あ〜い、今行くよ。」 &g01 &g80 &nありす─ 「あ、お兄ちゃん。どうぞ。」 &nたかひろ 「う…。」 &n──── テーブルの上の上にあるのは、白いごはんと真っ黒な物体 のみ。 &nたかひろ 「ところで、一つ聞きたいのだけど、今日のメニューは何 ?」 &g01 &g99 &g81 &nありす─ 「ごめんなさい…。一応ハンバーグなんですけど、失敗し ちゃって…。」 &nたかひろ #00 #03 &nたかひろ 「う〜ん…、失敗しちゃったのはしかたがないけど、一生 懸命に作ってくれたから、大丈夫だよ。」 「心のこもってない料理なんかと比べると、全然マシだか ら。」 &g99 &g80 &nありす─ 「え? 本当ですか? ありがとうございます。」 「今後、お料理で失敗しないためにも、がんばっていきま すので、よろしくお願いします。」 &g99 #00 #04 &nたかひろ 「これはちょっとヒドイね…。」 &nありす─ 「はう〜。ごめんなさい…。」 &nたかひろ 「今後は気をつけて。」 &nありす─ 「はい…、気をつけます。」 &g99 #00 #05 &g01 &nたかひろ 「ふぅ〜、ごちそうさまでした。」 &g80 &nありす─ 「お兄ちゃん、今日のお味はどうでした?」 &nたかひろ 「いやもう、文句なし。すんごくおいしかったよ。」 &nありす─ 「ありがとうございます。」 &nたかひろ 「最初のころと比べると、ホントだんちがいだよ。」 &g81 &nありす─ 「う…。」 「あのときは、すいませんでした。」 &nたかひろ 「ははは…、気にしてないから、もうあやまらなくてもい いって。」 「これからも、料理とかよろしくね。」 &g80 &nありす─ 「はい♪」 &g99 #00 #06 &g01 &g80 &nありす─ 「よし! これで、おそうじ完了♪」 &nたかひろ 「はい、ごくろうさま。」 「はぁ〜、それにしても新築みたいにピカピカだ…。」 &nありす─ 「ありがとうございます♪」 「ず〜っと、おそうじをやっていると、コツみたいなもの がわかってきて、もっとキレイになるんですよ…。」 &nたかひろ 「それはよかった。」 「へやを汚すことがあるかもしれないけど、これからもよ ろしく頼むよ。」 &nありす─ 「がんばります♪」 &g99 #00 #07 &g95 &n──── ぐぉぉ〜ん…。 ピー、ピー、ピー… &g80 &nありす─ 「脱水終了♪ 次は物干しでつるして♪ と…」 &nたかひろ 「あ、おつかれさん。」 &g01 &nありす─ 「あ、お兄ちゃん。まだ洗濯して欲しいものあります?」 &nたかひろ 「ん? 別にないけど…。」 「いつもこまめに洗濯してくれているからね…。ホント助 かるよ。」 &nありす─ 「いえいえ、これが私のおしごとですから。」 &nたかひろ 「まぁ、そんな無理強いするもんじゃないから、気楽に… ね。」 &nありす─ 「はい。ありがとうございます。」 &g99 #00 #08 &g95 &nありす─ 「んっしょ!」 &n──── てくてくてく…。 「っしょい!」 &n──── ドッスン…。 &g01 &g80 &nありす─ 「ふ〜、これでよし!」 &nたかひろ 「あれ? ありす、何してたの?」 &nありす─ 「部屋の整頓。」 「ちょっと部屋が乱雑だったんで、物を動かしてスッキリ させていたんです。」 &nたかひろ 「あ、ホントだ…。スッキリしている。」 &nありす─ 「お兄ちゃん、こんな配置で大丈夫?」 &nたかひろ 「うん、全然問題ないよ…。ありがとうね。」 &g99 #00 #09 &g01 &n──── ピ〜ン ポ〜〜ン♪ &nたかひろ (ん? 誰だ?) &n──── ピ〜ン ポ〜〜ン♪ &nたかひろ 「は〜い、どちら様ですか〜?」 &n男の声─ 「オレだけど」 &nたかひろ (この声は、友人Aか。) (あ、そういや、今日、うちで飲んだりすることになって いたな…。) &g95 &nたかひろ 「はいは〜い、今開けますよ〜。」 &n──── ガチャ。 &g90 &n友人A─ 「うぃ〜っす。遊びに来たぜぇ。」 &n友人B─ 「ふ〜、お酒と食いもん、持ってきた。」 &n友人C─ 「こんばんは〜っと。」 &nたかひろ 「よ〜、お前ら、なか入れや。」 &g01 &n友人A─ 「おじゃましま〜すっと…、あれ?」 「なんか、部屋キレイになってない?」 &n友人C─ 「そういえば、そうですね…。」 &n友人B─ 「ふ〜、ちゃんと掃除してある…。」 &nたかひろ (う…、そういや、ありすのこと、こいつらに話してなか ったな。) (ちょうど今、ありすは修理でここにいないし、話すとメ ンドーだから、このまま誤魔化すか…。) 「いちおう、オレだって掃除もするさ…。今回はたまたま キレイにした後なだけだって。」 &n友人C─ 「ふ〜ん、まぁいいや、とりあえず酒もあることだし、さ っそく飲みますか。」 &n友人B─ 「はやく、飲も、食べよ♪」 &n友人A─ 「おう! たかひろ、コップとか頼む。」 &nたかひろ 「はいはい…。」 &g95 &n──── …… &g99 #00 #10 &g01 &n──── ピ〜ン ポ〜〜ン♪ &nたかひろ (あ、そういや、今日、友人ABCが来ることになってい たな…。) &g95 「いま、開けるよ〜。」 &n──── ガチャ。 &g01 &g90 &n友人A─ 「ありすちゃ〜ん、こんばんは〜♪」 「…って、アレ? なんでお前がいるの?」 &nたかひろ 「オレで悪かったな…。」 (修理中でいないと言えないし、ここは実家に帰っている ということにしますか。) 「ありすは今、実家にいる。」 &n友人B─ 「ふぇ? ありすたん、いないの?」 &nたかひろ 「いいかげん、”ありすたん”をやめんか。」 &n友人C─ 「それは、残念ですね…。ありすちゃんに会うのが楽しみ だったのに…。」 &nたかひろ 「ああ、そうかい。だったら、今すぐ帰れ!」 &n友人A─ 「そんな冷たいことは言わずに、せっかく来たことだし、 オレらだけで飲もうよ。」 &n友人B─ 「ふ〜、そうだよ、そうだよ。」 &n友人C─ 「たまには、いいじゃないですか。」 &nたかひろ 「まぁ、昔みたいにありす抜きってのもいいかもな…。」 &g95 &n──── …… &g99 #00 #11 &g01 &n──── ピ〜ン ポ〜〜ン♪ &nたかひろ 「ん? 誰か来たのか?」 &g80 &nありす─ 「あ、お兄ちゃん、私がでますから。」 &g99 「はいはい〜い♪ どちら様でしょうか?」 &nたかひろ (そういや、なんか忘れていたような…。) (なんだったけな〜?) (あっ! しまった! 今日、友人ABCが来ることにな っていたんだ!) (あいつらには、ありすのことなんも言ってなかった。) (いきなり会わせるのは、まずい!!) &g95 「ちょっと、まった、あり…す…。」 &g80 &nありす─ 「ん? なに?」 &nたかひろ (しまった…。遅かったか…。) &g99 &g90 &n友人A─ 「おう、ちょうど、良かった。」 「たかひろ、この子だれだ?」 &n友人C─ 「はじめて見るけど?」 &nたかひろ (う…。) 「え〜っと、今まで言ってなかったんだけど、オレの妹で ありすっていうんだ。」 &n友人A─ 「お兄さんと呼ばせてください。」 &nたかひろ 「いきなり、なに寝ぼけたこと言ってやがる。」 &n友人B─ 「ありすたん、ハァハァ(;´Д`)」 &nたかひろ 「”ハァハァ”は、やめぇい!!」 &n友人C─ 「そういや、なんでここに妹さんが来てるのですか?」 &nたかひろ 「え〜っとな、ありすは高校卒業して、実家で家事手伝い していて、ちょくちょくこっちに来ているんだよ。」 &g99 &g80 &nありす─ 「兄がいつもお世話になっております。」 &g99 &g90 &n友人A─ 「いえいえ、とんでもない。」 「あっと、自己紹介が遅れましたが、私、たかひろ君の友 人のAです。」 &n友人B─ 「ふ〜、ボクはB。」 &n友人C─ 「Cです。よろしく。」 &g99 &g80 &nありす─ 「こちらこそ、よろしくおねがいします。」 &nたかひろ 「まぁ、あいさつはそれぐらいにして、お前ら、あがって いけや。」 &g01 「ありす、コップとかの用意たのむ。」 &nありす─ 「お兄ちゃん、わかりました♪」 &g99 &g90 &n友人A─ 「これから、お酒とか飲むけど、ありすちゃんもどう?」 &n友人C─ 「ありすちゃんって、お酒飲めるの?」 &nたかひろ 「どうだったけな〜?」 (そういや、ありす、食べ物、飲み物はダメだったはずだ から…。) 「ありすは、お酒ダメだったはず。」 &g99 &g81 &nありす─ 「はい、そうです。ごめんなさい。」 &g99 &g90 &n友人B─ 「ふ〜、残念。」 &n友人C─ 「まぁ、飲めないんなら仕方ないね…。」 &n友人A─ 「じゃあ、おれらでじゃんじゃん飲みますか。」 &nたかひろ 「はいはい…。」 &g99 &g95 &n──── …… &g90 &n友人A─ 「それじゃあ、オレらもここいらで帰るわ…。またね〜、 ありすちゃん♪」 &n友人B─ 「ふ〜、ありすたん、おやすみ〜。」 &n友人C─ 「今日はありがとうございました。おやすみ、ありすちゃ ん。」 &nたかひろ 「…オレへのあいさつは無しかい!!」 &g99 &g80 &nありす─ 「おやすみなさい。気をつけて帰ってくださいね。」 &g99 &g01 &nたかひろ 「さてと、あいつらも帰ったことだし、後片付けと…。」 &g81 &nありす─ 「はぁ〜、だいぶん汚れましたね…。」 &nたかひろ 「すまん、ありす。そうじたのむ。」 &g99 &g80 &nありす─ 「はい♪」 &g99 &n──── 掃除が20上がった。 &g99 #00 #12 &g01 &n──── ピ〜ン ポ〜〜ン♪ &n友人A─ 「たかひろ〜、ありすちゃ〜ん、遊びに来たよ〜。」 &nたかひろ (ん? またあいつらかな?) &g95 「今、玄関あけるよ〜。」 &n──── ガチャ &g90 &n友人B─ 「あれ? ありすたんは?」 &nたかひろ 「中にいるよ。まぁ、入って入って…。」 &n友人C─ 「おじゃましま〜す。」 &g99 &g01 &g80 &nありす─ 「あ、皆さん、いらっしゃい♪ ごゆっくりしていってく ださいね。」 &g99 &g90 &n友人C─ 「おじゃましま〜す。」 &n友人B─ 「これから、ボクたちで飲んだりするけど、ありすたんも いっしょにどう?」 &g99 &g81 &nありす─ 「すいません、私、お酒とかダメなんです。」 &g99 &g90 &n友人A─ 「やっぱ、ダメなのか…。」 「ま〜、しかたない。うちらで飲みますか…。」 &g99 &g95 &n──── …… &g01 &g90 &n友人A─ 「はぁ〜、夜も遅くなったことだし、ここらでお開きにし ますか…。」 &nたかひろ 「うん、そうだね。」 &n友人C─ 「そんじゃ、お休み〜」 &n友人B─ 「ふ〜、また〜。」 &g99 &nたかひろ 「帰ったか…。」 「それにしても、さんざん散らかしたな…。」 &g81 &nありす─ 「えぇ、いろんなものをひっぱりだしたりして、あとかた づけがたいへんですね…。」 「あとは私がやっておきますから、お兄ちゃんもお休みに なってください。」 &nたかひろ 「あぁ、すまん。よろしく頼む。」 &g99 &n──── 整頓が20上がった。 &g99 #00 #13 &g01 &n──── ピ〜ン ポ〜〜ン♪ &g90 &n友人A─ 「よ! また遊びに来たよ〜。」 &n友人B─ 「ふ〜、飲もう。」 &n友人C─ 「あれ? ありすちゃんは?」 &nたかひろ 「ん? 今、なんか酒のつまみになるようなもの作ってい る。」 &n友人A─ 「なにぃ〜! ありすちゃんの手料理!?」 &nたかひろ 「そんな大げさな…。」 &g99 &g80 &nありす─ 「あ、みなさん、いらっしゃい。」 「ちょうど、お料理できたところです。」 &g99 &g90 &n友人B─ 「ふ〜、うまそうだな〜。」 「ありすたんの手料理、おひとつ…。」 「ふぉ〜! うま〜!」 &nたかひろ 「泣くほどのもん?」 &n友人C─ 「いえいえ、ほんとおいしいですよ。」 &n友人A─ 「そうそう、ありすちゃん、料理うまいね〜。」 &g99 &g80 &nありす─ 「ありがとうございます。」 「お料理はまだまだありますので、じゃんじゃん食べてく ださいね。」 &g99 &g95 &n──── …… &g01 &g90 &n友人B─ 「ふ〜、食った食った…。」 &nたかひろ 「おまえは、食いすぎだって。」 &n友人A─ 「ごちそうさま〜。」 &n友人C─ 「ごちそうさま〜。」 「それじゃ、ぼちぼち帰りますか…。」 &n友人A─ 「それじゃあねぇ。」 &nたかひろ 「ああ、またな。」 &g99 &g80 &nありす─ 「またね。」 &g99 &n──── 料理が20上がった。 &g99 #00 #14 &g01 &n──── ピ〜ン ポ〜〜ン♪ &nたかひろ (あ、そういや、今日来るんだったな…。) 「は〜い。」 &g80 &nありす─ 「お兄ちゃん、私が出ますね。」 &g99 &g90 &n友人C─ 「おじゃまします。」 &nたかひろ 「よ! おまえら。」 &n友人A─ 「元気にしとるか?」 「今日は、マージャンしようと思ってな…。道具、持って きたぜ。」 &nたかひろ 「まーじゃん?」 &n友人B─ 「そう。」 &nたかひろ 「う〜ん、前はよくやったが、ありすが来てから、やらな くなったからな…。」 「そうだね…、やるか。」 &n友人A─ 「そうこなくちゃ。」 &g99 #00 #15 &g95 &n──── ジャラジャラジャラ… カツッ、カツッ、… &g90 &n友人B─ 「ロン!」 &nたかひろ 「ぐはっ!」 (なんだ? ABCのやつら、前よりも強くなってやがる …) (さっきから、こいつらばかりがあがって…) &n友人A─ 「ふっふ〜ん。以前のオレたちと思ったら大間違いだぜ。 特訓をかさねてきたからね。」 &n友人C─ 「ふふふふふ…。」 &nたかひろ (まずい…。このままでは負ける。) &g99 &g80 &nありす─ 「あの〜、お兄ちゃん。私がかわりにうちましょうか?」 &nたかひろ 「ルールとか知ってるの?」 &nありす─ 「この前、うちにあった本を読んだので知ってます。」 &nたかひろ (う〜ん…。どうしようか?) #00 #16 &nたかひろ (本人もやりたがっていることだし…。) 「じゃあ、かわりにやってごらん。」 &nありす─ 「お兄ちゃん、ありがとう♪」 &g99 &g90 &n友人A─ 「お? ありすちゃんと交代か?」 &n友人B─ 「あ、ありすたんが?」 (ってことは…) 「ハァハァ…、負けたら服を脱いで…。」 &nたかひろ 「んなわけ、あるか!」 (ったく、何考えているんだか…。) &n友人C─ 「それはともかく、ありすちゃんが相手でも、えんりょな くいきますからね。」 &g99 &g80 &nありす─ 「よろしくお願いします。」 &g99 &n──── ジャラジャラジャラ… カツッ、カツッ、… …… &g80 &nありす─ 「ツモ! 四暗刻!」 &g99 &g90 &n友人A─ 「なんじゃそりゃ〜!」 &g99 &g80 &nありす─ 「へへ〜ん!」 &g99 &nたかひろ (いきなり、役満かよ…。) (アレ? そういえば、ありすはうちの本を読んでマージ ャンのルールを覚えたと言っていたけど…。) (うちにマージャンの本なんてなかったよな…。) 「なぁ、ありす?」(ABCに聞こえないように小声で話 してます) &g80 &nありす─ 「お兄ちゃん、どうかしました?」(こっちも小声で) &nたかひろ 「マージャンの本って、なに読んだの?」(小声で) &nありす─ 「え〜っと、『勝負師伝説 哲○』って本です。絵がいっ ぱいあって、わかりやすかったです。」(小声で) &nたかひろ (それって、マージャンのマンガだよ…。) 「ってことは…。ありす、きみがさっきやったのって。」 (小声で) &nありす─ 「つばめがえし。」(小声で) &nたかひろ 「ぶっ! 玄人技じゃねぇか…。」(小声で) (玄人技でも、ロボットだから、造作もないことなのだろ うか…?) &nありす─ 「なんか、まずいのでしょうか?」(小声で) &nたかひろ 「う〜ん…、やっぱまずい…。」(小声で) &g99 &g81 &nありす─ 「お兄ちゃん、わかりました。玄人技は使わないことにし ます。」(小声で) &g99 &g90 &n友人C─ 「さっきから、なに話してんの?」 &nたかひろ 「いや、なんでもない。」 &n友人C─ 「それならいいけど…。あ、次、ありすちゃんが親だから ね。」 &g99 &n──── ジャラジャラジャラ… カツッ、カツッ、… &g80 &nありす─ 「あ…。」 &g99 &g90 &n友人A─ 「?」 「どうしたの?」 &g99 &g80 &nありす─ 「…テンホー。」 &n全員── 「……」 &nたかひろ (おいおい…。) &g99 &n──── …… &nたかひろ (はぁ〜、今日はありすのおかげでなんとかABCに勝て た…。) (これで少しは生活が楽になったかな?) &g99 &n──── お金が3万円ふえた。 #00 #17 &nたかひろ (う〜ん、本を読んだからってマージャンで勝てるとは限 らないし…。) 「ゴメンね、ありす…。本を読んだくらいで、勝てるとは 限らないからね…。」 &g99 &g81 &nありす─ 「はぅ〜、そうですか…。」 「残念です。」 &g99 &g80 「それじゃあ、お兄ちゃん、がんばってくださいね。」 &nたかひろ 「おう! まかしとき!」 &g99 &n──── ジャラジャラジャラ… カツッ、カツッ、… …… &g90 &n友人A─ 「ツモ!」 &nたかひろ 「ぐはっ!」 &g99 &n──── ジャラジャラジャラ… カツッ、カツッ、… …… …… &nたかひろ (うぅ…。結局、ボロボロに負けて…。) (こんなんで、今月、やっていけるのだろうか…。) &g99 &n──── お金が3万円へった。 #00 #18 &g01 &n──── トゥルルル… トゥルルル… ガシャ &nありす─ 「はい、水方です。」 「……」 「……はい。」 「……わかりました。」 &g80 「お兄ちゃん、よしみ主任からお電話ですけど…。」 &nたかひろ 「え? お袋から?」 &g99 &g95 「もしもし、たかひろだけど…。」 &nよしみ─ 「おう、たかひろ、元気にやってるか?」 &nたかひろ 「あぁ、元気やけど。」 「で、お袋、いったい何の用なん?」 &nよしみ─ 「あぁ、実はな…。お前んとこにいるありすのテストなぁ …、終了日が決まったから。」 「え〜っと、今月9月30日でテストが終了ってことだか ら。」 「その30日に会社の者が引き取りにくることになってい るんで、よろしくな。」 &nたかひろ 「あと1ヶ月ほどか…。」 &nよしみ─ 「ん、そうだな…。それまでの間、ありすのことよろしく 頼むわ。」 &nたかひろ 「…あぁ、わかった。」 &nよしみ─ 「どうした? ありすがいなくなるのが寂しいか?」 &nたかひろ 「ん〜、そうかもね…。」 「でも、こういう日がいつか来ることもわかっていたから …。大丈夫だよ…。」 &nよしみ─ 「そうか、ならいいんだが。」 「そういうことで、それじゃあ。」 &nたかひろ 「ああ。」 &n──── カチャ &g01 &g80 &nありす─ 「お兄ちゃん、何でしたの?」 &nたかひろ 「お前のテスト終了日が決まったってな…。今月の30日 までだそうだ…。」 &g99 &g81 &nありす─ 「そうなんですか…。」 &nたかひろ 「あと1ヶ月ほどだけど、それまでは家のこと、よろしく 頼むな。」 &g99 &g80 &nありす─ 「のこりわずかですけど、こちらこそ、よろしくお願いし ます。」 &g99 #00 #19 &g01 &n──── 9月30日 &nたかひろ 「ついにこの日が来てしまったか…。」 &g81 &nありす─ 「ええ…。ついに…。」 「さきほど、会社の人も来られたので、これでお別れにな ります。」 &nたかひろ 「もう、行くのか?」 &nありす─ 「はい。」 &g80 「でも、これでテストが終了し、ついに製品化となるわけ ですから、よろこばしいことなんですよ。」 &nたかひろ 「そうだよな。」 &nありす─ 「そうですよ、お兄ちゃん。」 「そういうわけで、今まで、本当にありがとうございまし た。」 &nたかひろ 「こちらこそ、いろいろ家のことやってもらって大助かり だったよ。」 &nありす─ 「もう、時間ですね。」 &nたかひろ 「そっか…。」 「こう言うのも変だけど、元気でな。」 &nありす─ 「お兄ちゃんも元気で…。」 「それじゃあ。」 &g99 &nたかひろ (ふ〜、ついに行ってしまったか。) (長いようで短い6ヶ月だったな…。) &g95 &n──── … …… それから1ヶ月後、親父たちが開発したロボットが発表さ れ、世界中で話題になった。 そのロボットはありすと違うデザインであったものの、性 能はありすそのものであった。 その性能は… #00 #20 &g01 &n──── ピ〜ン ポ〜〜ン♪ 「宅配便で〜す。」 ピ〜ン ポ〜〜ン♪ &nありす─ 「は〜い、いま行きま〜す。」 「……」 「……はい、ごくろうさまです。」 &g80 「あ、お兄ちゃん、会社のほうから宅配便が届きましたけ ど…。」 &nたかひろ 「ん? 親父とお袋からか?」 &nありす─ 「はい、そのようですね…。」 &nたかひろ 「いったい、何を送ってきたのやら。」 &n──── がさごそ がさごそ… &nたかひろ 「ん? 手紙が入っている。」 「え〜っと、『ありすちゃん、家事をがんばっているよう だから、ごほうびということで送ります。』」 「『ありすちゃんの家事効率がさらによくなることを期待 します。』」 「ということらしいから、送られてきたのは、ありすのた めの物だそうだ。」 &nありす─ 「何が送られてきたのですか?」 &nたかひろ 「料理の本、掃除道具、洗濯用品、整頓棚…やね。しっか し、ふつう、こんなもん送るか?」 &n!注意! こまかいことは気にしないでください。 &nありす─ 「私は家事がうまくなるので、うれしいですよ♪」 &nたかひろ 「まぁ、本人がそう思うのなら、それでいいけど…。」 &n──── 料理が30上がった。 掃除が30上がった。 洗濯が30上がった。 整頓が30上がった。 &g99 #00 #21 &g01 &nたかひろ 「なぁ、ありす。」 &g80 &nありす─ 「どうしたの? お兄ちゃん。」 &nたかひろ 「いや、な…。実はちょっとギモンに感じるところがあっ てな。」 「ありす…、家事をすると、例えば料理をすると、学習し て料理が上手くなるのはわかるが…。」 「どうして、かわりに掃除や洗濯、整頓がちょっと下手に なるんだ?」 &g99 &g81 &nありす─ 「あ〜、そのことですね…。」 「以前、私のソフト担当のよしみ主任に聞いてみたのです が…。」 「実は、料理の例でいうと、料理をすると料理に最適化し ようと学習するらしいんです。」 「でも、料理に最適化するあまり、他の学習に影響をあた えてしまって、下がっちゃうみたいなんです。」 &nたかひろ 「どういう理屈でそうなるのかは知らんが、そういうもん だと思えばいいのね。」 &nありす─ 「はい、そんなもんです。」 &g99 #00 #22 &g01 &g80 &nたかひろ 「ありす、ず〜っと前から気になっていたんだけど…。」 &nありす─ 「なんでしょう?」 &nたかひろ 「ありすの服っていつも同じだよね?」 &nありす─ 「あ、この服ですか?」 「この服、いつも同じじゃないですよ。毎日ちがう服を着 てますよ。」 &nたかひろ 「え? どういうこと?」 「…まさか、それと同じ服が何着もあるとか?」 &nありす─ 「ピンポ〜ン♪ 正解♪」 「私のクローゼットを見てもらえばわかると思いますが、 これと同じ服が何着もありますよ♪」 &nたかひろ 「なんでまた、同じ服を?」 &nありす─ 「まぁ、制服みたいなものと思っていただければ…。」 「それに、ゲームとかだと、いつも同じ服ってのはよくあ ることじゃないですか…。」 &nたかひろ (おいおい……。) &g99 #00 #23 &g01 &n──── トゥルルル… トゥルルル… トゥルルル… &nたかひろ (ん? 電話、だれからだ?) ガシャ 「はい、もしもし、水方ですけど。」 &n友人A─ 「あ、たかひろ、オレだけど。」 &nたかひろ 「ん、Aか? なんのようだ?」 &n友人A─ 「あした、海に行かん?」 &nたかひろ 「いきなりだな、おい…。」 &n友人A─ 「いや、な。実は地元の人しか知らないような海水浴場が あってな、人が少なくていいかな〜と思って…。」 「それに、まだ、うちらで海水浴行ってなかったやろ?  ちょうどいいから、行ってみようとな。」 &nたかひろ 「ほ〜、海か、悪くないな…。」 &n友人A─ 「BもCも行くと言っていたぞ。」 「だから、あした、海に行かん? っていうか、ありすち ゃんだけ来れば、それでいい。」 &nたかひろ 「ほう、そうかい。(怒)」 &n友人A─ 「で、そうする?」 &nたかひろ #00 #24 &nたかひろ 「うん、行くよ。」 &n友人A─ 「で、で、ありすちゃんは?」 &nたかひろ (オレはどうでもいいのか?) 「わかったよ、連れて行くよ…。」 &n友人A─ 「うっし。」 「じゃあな、海水浴場は○×△にあるから、朝、駅にみん なで集まって出発ということでいいか?」 &nたかひろ 「○×△にあるのか…。ちと遠いな。」 &n友人A─ 「たしかに、ちょっと遠いけど、穴場だから、人が少なく て、けっこういいはず。」 &nたかひろ 「うん、わかった。朝、駅に集合ということで。」 「ありすにも伝えておくよ。」 &n友人A─ 「おう、んじゃ、よろしくな。」 &n──── ガチャ ツー ツー ツー &nたかひろ 「お〜い、ありす〜。」 &g80 &nありす─ 「あ、お兄ちゃん、どうしたの?」 &nたかひろ 「あした、海、行かん?」 &nありす─ 「え? 海ですか?」 &nたかひろ 「そ、海。」 「A、B、Cといっしょに、明日、海水浴に行くことにな ってな。」 「で、ありすも来ないか?って、あいつらが言ってるんだ けど、どうする?」 &g99 &g81 &nありす─ 「え〜っと、わたし、海に行ってもよろしいのでしょうか ?」 「忘れているかもしれませんが、いちおう、わたし、家事 手伝いロボットなんですけど…。」 &nたかひろ (そういや、そうだったな。) (でも、ロボットにも息抜き(?)は必要だし…。) 「いいんではないのかい?」 &g99 &g80 &nありす─ 「ホントですか?」 「ありがとうございます♪」 「でも、水着とか持ってないんですけど、どうします?」 &nたかひろ 「ん〜、そうだな〜。」 「向こうに行くとちゅうで、買えるところがあると思うか ら、そこで買っちゃえば?」 &nありす─ 「はい、そうしますね♪」 &nたかひろ 「じゃ、あした朝、出発ということで…。」 「朝、早いから、もう寝ることにするよ。」 &nありす─ 「おやすみなさ〜い、お兄ちゃん。」 &g99 &g95 #00 #25 &nたかひろ 「う〜ん、わりぃ、行けないや。」 &n友人A─ 「んじゃ、ありすちゃんは?」 &nたかひろ (ありす一人だけというのも、何があるかわからんしな、 それにありすがロボットだってばれたらまずいし…。) 「たぶん、ダメだと思うけど。」 「とりあえず、電話、ありすに代わるわ。」 &n友人A─ 「おう、頼む。」 &nたかひろ 「お〜い、ありす。」 &g80 &nありす─ 「ん、何? お兄ちゃん。」 &nたかひろ 「Aのやつが、海水浴に行かないか?って言っているんだ けど、どうする?」 「オレは行かないことにしたけど…。」 &g99 &g81 &nありす─ 「ん〜、行けないですね。」 &nたかひろ (やっぱり、そうか。) 「じゃ、とりあえず、電話に出て、そのこと言っといてく れや。」 &g99 &g80 &nありす─ 「はい。」 &g99 「……」 「はい、行けないです。ごめんなさい。」 「……」 「いえいえ、こちらこそ…。」 「じゃ、また今度。」 &g80 &nたかひろ 「あ、どうだった?」 &nありす─ 「Aさん、なんだかがっかりしてましたけど…。」 &nたかひろ 「あぁ、そんなこと、気にしなくていいよ。」 「あしたも、ふだん通りだけど、家事頼むわ。」 &nありす─ 「はい♪」 &g99 #00 #26 &g95 &n──── 8月18日 海水浴当日 &nたかひろ 「お〜い、ありす〜。出発するぞ〜。」 &nありす─ 「は〜い。」 &g80 「おまたせ〜♪」 &nたかひろ (海水浴行くのにも、その服かい…。) (まぁ、水着を買うから別にいいか。) 「んじゃ、駅まで行こうか。あいつらも待っていることだ し。」 &nありす─ 「そうですね。」 &g99 &n──── … …… ……… &nたかひろ (さて、駅についたけど、あいつらは…?) 「お、いた。」 「お〜い!!」 &g90 &n友人C─ 「おそかったですね。」 &nたかひろ 「いや、わるい、わるい。家出るのに、ちょっと手間取っ てな…。」 &g99 &g80 &nありす─ 「みなさん、おはようございます。」 &g99 &g90 &n友人A─ 「ありすちゃん、おはよう。」 &n友人B─ 「あ、ありすたん、おはよう。」 &n友人A─ 「みんなも集まったし、出発するか。」 &nたかひろ 「あぁ。」 「ところで、その海水浴場って、ここからどれくらいかか るんだ?」 &n友人A─ 「ん〜、だいたい1時間半ってところかな?」 &nたかひろ 「ちょっと遠いな…。」 &n友人C─ 「でも、かなりの穴場でいいところみたいですよ。」 &nたかひろ 「ふ〜ん。それは楽しみ。」 &g99 &n──── … …… ……… &g99 #00 #27 &g95 &n──── 1時間半後 &g03 &nたかひろ 「とうちゃ〜く。」 「うぉ、さっすがに地元の人しか知らない穴場。人が少な い…っていうか、ほとんど人いないじゃん。」 &g80 &nありす─ 「ホント、ほとんど人いないですね…。お兄ちゃん。」 &nたかひろ 「こんな状態でも、海の家があるのは不思議だ…。」 &g99 &g90 &n友人A─ 「だから言ったろ? 穴場だって。」 「だれもいない分、思いっきり海で泳げるから、いいっし ょ?」 &nたかひろ 「たしかにそうだな。」 &g99 &g81 &nありす─ 「ねぇ、お兄ちゃん。」(ABCに聞こえないような小声 で) &nたかひろ 「ん、どうした? ありす。」(こっちも小声で) &nありす─ 「実は、さっき思い出したのですが、わたし、海水ダメな んです。」(小声で) 「生活防水になっていますが、塩水はさびやすくて、海に 入っちゃうと、ひじょうにやばいみたいで。」(小声で) &nたかひろ 「そうなの?」(小声で) 「だとすると、海には入れないね…。」(小声で) 「なぁ、もし海に入っちゃうとどうなんの?」(小声で) &nありす─ 「ん〜、たぶんですねぇ。一度、体をばらして、全パーツ の洗浄になると思います。」(小声で) 「だいたい1〜2週間くらいかかるはずですよ。」(小声 で) &nたかひろ 「そりゃ、まずいね…。」(小声で) 「ん〜、だとすると、さっき買ったありすの水着、どうし ようか?」(小声で) &g99 &g80 &nありす─ 「せっかく買ったことですし、いちおう、着ますよ♪」 (小声で) &nたかひろ 「うん、わかった。」(小声で) &g99 &g90 &n友人C─ 「ん、どうしたんです?」 &nたかひろ (ん〜、ありすが海に入れないって、どう説明すればよい か…。) 「えっと…、ありす、海に入れないんだ。」 &n友人A─ 「それって、泳げないとか、そういう意味?」 &nたかひろ 「いや、違う。」 「…ん〜っと、海水が体質に合わないからダメなんだ。」 (まちがってはいない…よな?) &n友人B─ 「え? そうなの? ありすたん。」 &g99 &g81 &nありす─ 「あ、はい、そうです。」 「海水が全くダメなんです。」 「すいません、せっかくの海水浴なのに…。」 &g99 &g90 &n友人A─ 「え〜〜っ。ってことは水着着ないの?」 &n友人B─ 「ふぇ? そんな〜。」 &g99 &g80 &nありす─ 「いえ、せっかくなので水着は着ますよ。」 「それじゃ、あっちのほうで着替えてきますね。」 &nたかひろ 「ああ。」 &g99 &n──── …… &g95 &nありす─ 「おまたせ♪」 &n友人B─ 「ありすたん、ハァハァ(;´Д`)」 &nたかひろ 「そのハァハァは、やめんかい!」 &n友人A─ 「グッ ジョブ!」(ビシッ!) &n友人C─ 「うちらは海に入っていくので、ありすちゃんは、そこら 辺でのんびりしていてくださいね。」 &nありす─ 「はい、いってらっしゃい♪」 &n──── …… &n友人A─ 「うぉ〜〜!!」 ばしゃ ばしゃ ばしゃ ばしゃ… &nたかひろ ばしゃ ばしゃ… 「うひょ! 冷たい!」 &n友人B─ ぷか〜 「……」 &nたかひろ 「なぁ? Bは何してんだ?」 &n友人C─ 「泳ぐのがおっくうなんで、浮き輪に入って浮いているだ けだそうです。」 &nたかひろ 「……」 「…なにしに、あいつは来たんだ?」 &n──── … …… ……… &nたかひろ 「ふぃ〜、疲れた…。一休みしよっと。」 &g04 &nありす─ 「あ、お兄ちゃん、お疲れさま〜。」 「はい、タオル。」 &nたかひろ 「お? サンキュ、ありす。」 「ところで、そんなところにずっと座ってて、たいくつじ ゃないか?」 &nありす─ 「そうでもないですよ。みなさんが遊んでいるのを見てい るだけでも、けっこう楽しいですし…。」 &nたかひろ 「なら、いいけど。」 &nありす─ 「ねぇ、お兄ちゃん。さっきから気になっていたんだけど 向こうのいるBさん、砂に埋もれてなにしているの?」 &nたかひろ 「ん、あれか? 海に入っているのが疲れるから、砂浜で 寝ているんだとさ。」 &nありす─ 「……」 「わたしも人のことは言えないんですが、Bさん、なにし に来られたのでしょうかねぇ…。」 「あ、そうだ、お兄ちゃん、みなさんも呼んできて、お昼 にしませんか?」 「お弁当、作って持ってきましたし…。」 &nたかひろ 「ん? もうそんな時間か?」 「わかった、呼んでくる。」 「お〜い、ごはんにしようって。」 &nABC─ 「わかった〜。」 &g95 &n友人B─ 「手作りのお弁当♪」 &nありす─ 「いっぱい、用意しましたから、どんどん食べてください ね♪」 &n友人A─ 「あ〜い。」 &n友人C─ 「いっただっきま〜す♪」 &n友人B─ 「ふごふご、ウマ、ウマ…。」 &nたかひろ 「お前、体動かしてないのに、よくそんなに食えるな。」 &n友人B─ 「ふぉ? そう?」 &nありす─ 「まぁまぁ、お兄ちゃん、おいしくごはんが食べれれば、 それでいいじゃないですか。」 &n友人A─ 「それでも、こいつは食いすぎ。」 &n──── … …… ……… &n友人C─ 「ふぅ〜、ごちそうさまでした。」 &n友人A─ 「よっしゃ〜!! 第2ラウンドと行きますか。」 「うぉ〜〜!!」 ばしゃ ばしゃ ばしゃ ばしゃ… &g04 &nたかひろ 「う〜ん、あいつは元気だな…。」 「それに引き換え、こいつときたら…。」 &n友人B─ 「…ふぅ〜、おなかいっぱい。…むにゃむにゃむにゃ…。 もう食べられません。…むにゃ…。」 &nたかひろ 「寝てやがる…。」 (さて、オレもぼちぼち…) 「んじゃ、ありす、オレも海のほう行ってくるから。」 &nありす─ 「はい、いってらっしゃい♪」 &nたかひろ 「ああ…。」 &g95 「とぅ!!」 バシャン! &n友人C─ 「なにを〜、…うりゃ!」 バシャ! &n友人A─ 「ぬぬぬぬ…。これでもくらえ〜!!」 シュババババ… &n──── … …… ……… &n友人C─ 「ふぅ〜、だいぶ疲れたな…。」 「もうそろそろで夕方になるし、ここいらで帰りましょう か?」 &n友人A─ 「ん? もうそんな時間か?」 「どうする?」 &nたかひろ 「そだね。オレも疲れたし、帰りますか…。」 「お〜い、ありす、もうそろそろ帰るからな〜。」 &nありす─ 「わかりました〜。」 &n──── … …… &g03 &g90 &n友人C─ 「ありすちゃん、帰りの準備はできましたか?」 &g99 &g80 &nありす─ 「はい、大丈夫です♪」 「今日はありがとうございました。」 &nたかひろ 「そんじゃ帰ろうか…。」 &g99 &g90 &n友人A─ 「ああ、そうだな。」 &g99 &g80 &nありす─ 「みなさん、お疲れさまでした。」 &g99 &g95 &n──── … …… ……… 今日の支出 ありすの水着+交通費、計3万円 #00 #28 &g95 &n──── 数日後 ピ〜ン ポ〜〜ン♪ &nたかひろ 「……?」 &n──── ピ〜ン ポ〜〜ン♪ &nたかひろ 「は〜い。今出ます…。」 ガチャ &g80 &nありす─ 「お兄ちゃん、こんにちは〜♪」 「こんど、家事手伝いロボットの改良バージョンを出すこ とになりまして…。」 「またおせわになります♪」 &n────                        おわり &g99 #00